“第2の冨田”が心配だ…問われる指導者のコンプライアンス
日本オリンピック委員会(JOC)が各競技のナショナルチームの指導者を束ねる委員会の創設を急いでいる。
競技の垣根を越えて強化策などを話し合う「監督・コーチ委員会」で、来年にも設置する見込みだ。20年東京五輪に向けた強化策の一環で、各競技の代表チームの監督、コーチが定期的に集まって指導法や練習、トレーニングメニューの共有を主な目的とするという。
昨年の柔道女子代表監督による暴力、パワハラ指導、今年は競泳男子代表の冨田尚哉による窃盗疑惑と不祥事が続出。ここ数年は、国際試合で開催地のマフィアから選手が八百長を持ちかけられたり、麻薬や危険ドラッグの運び屋に仕立てられるなどのリスクも増えている。指導者には行動規範を徹底する倫理委員会としての役割も期待されているという。
ナショナルチームの指導者が足並み揃えて襟を正そうというわけだが、ちょっと待てだ。
各競技とも、現役時代に五輪や世界選手権でメダルを獲得するなど、実績を残した指導者ばかり。現役時代に脇目も振らず一心不乱に競技に打ち込み、一般とはかけ離れた世界で生きた人間が多い。暴力、パワハラに加えて、助成金の不正受給も問題になった柔道を見るまでもなく、コンプライアンス(法令順守)の意識に欠けているとしか思えない指導者もいるほどだ。