カメラ窃盗疑惑もう一つの疑問 冨田を見捨てた水連の“思惑”
「僕はカメラを盗んでいません。今日は真実は違うということを釈明したかった」――
今年9月のアジア大会(韓国・仁川)で地元報道陣のカメラを盗んだとして現地で略式起訴処分を受けた競泳男子平泳ぎの冨田尚哉(25)が昨6日、名古屋市内で弁明会見を行った。
代理人の國田武二郎弁護士同席のもと、約2時間にわたって、一連の騒動について釈明。冒頭の1時間は國田弁護士が事前に用意した23ページにもわたる弁明書と陳述書を基にカメラを盗んだとされる9月25日の状況を説明した。同弁護士によれば、犯行時刻とされる10時48分(韓国警察側は11時48分と主張)にはアリバイがあり、完璧な冤罪であると強く訴えた。
だが、釈然としない点も多々あった。
冨田本人は、カメラは盗んだものではなく、プールサイドにいた「緑色のズボンをはいた怪しい人物から無理やり、バッグに入れられた」と説明したが、それを選手村の部屋まで持ち帰ったことについては「(カメラが)壊れていると思い、ごみ箱がなかったので後で捨てようと思った」と落ち着きのない表情で弁明。だったら、その場で警備員なり日本代表関係者らに相談すればいいものを、仲間の選手数人と選手村までのバスに同乗しながら、「バスがすいていて、ひとりで座ったので誰にも言わなかった」と言い、宿舎で同部屋の先輩選手にも「自分が次の日にレースがあったので、話すこともなかった」と言うのだ。