“おしゃべり”白鵬のだんまりが日本人に優勝チャンスの理由
しゃべりたい。猛烈にしゃべりたいけど、こちらにも意地というものが――。そんな様子がありありとうかがえたのが、横綱白鵬(29)だ。
8日に初日を迎えた大相撲春場所。白鵬は結びの一番で妙義龍と対戦。立ち合いで体が伸びたところに引き技で体勢を崩すも、何とか押し倒しで勝ちを得た。勝ち名乗りでは懸賞の束を引っつかんで、いつも以上にぶん回すしぐさも見せた。
相撲担当記者たちにとって、この日の「本割」はここから。白鵬は初場所後の審判部批判からというもの、報道陣には一切口を閉ざしている。2月の相撲トーナメントでは支度部屋で報道陣に背中を向けてマゲを結い直すなど、無視を決め込んでいた。それだけに本場所でも同様の態度を取るのかに注目が集まっていたのだ。
風呂から上がった白鵬は正面を向いて座った。そこで担当記者が「いつもより低い立ち合いでしたが……」と聞くと、何やら言いたげに口を開きかける。報道陣が一斉に耳を寄せるも、しかし無言。「(優勝33回の)大記録を達成して気持ちに変化は」という質問にも反応しかけたが、最後までコメントを発することはなく、「下がって」と報道陣を追い払った。