楽天新守護神の松井裕樹 「防御率0.00」で迎える開幕の不安
「ちょっと順調すぎる。一度、ガツンとやられた方がいいと思ってたんだけど……」
先日、楽天の某選手がこう言っていた。デーブ大久保新監督から今季のストッパーに抜擢された高卒2年目左腕の松井裕樹(19)が、5戦連続ゼロ封と完璧な内容でオープン戦を終了。それが、「逆に不安です」と先の選手が言うのは、松井裕の性格に起因する。
一緒に自主トレを行うなど、弟のように松井裕をかわいがっているエースの則本昂大(24)がこう言っている。
「あいつ、調子に乗せたらものすごいですから。半面、一度、落ち込むとシュンとしちゃう」
松井裕のオープン戦成績は8試合で防御率0.00。9イニングで16奪三振、奪三振率16.00と驚異的な数字を残した。
怖いもの知らずで腕を振り、自らの長所を存分に発揮したものの、シーズンでストッパーが感じる重圧はまったく別物。マイナスを引きずるタイプだけに、開幕前に失敗したときの免疫をつくっておいた方がよかったのでは、というわけだ。先発で4勝した1年目の昨季も1本の被安打で途端に制球を乱すケースが多々あった。それだけに周囲は気を揉むのだ。
松井裕の配置転換で手薄な先発陣はさらに脆弱になった。昨年以上にリリーフに負担がかかるのは間違いない。その中心に松井裕を据える陣容には、イチかバチかというベンチの苦心が見え隠れする。最下位脱出が今季の楽天の現実的な目標だろう。