釜本氏が見たイラク戦 「攻め急ぎ感とイケイケ感強すぎる」
しかし、全体的な印象として「攻め急ぎ感とイケイケ感が強過ぎる」という印象を持った。縦パスを送るにしても、局面に応じて緩急をつけて欲しかったし、そもそもサイドを崩してからの攻撃が少な過ぎた。
相手が強くても、もちろん弱くても、サイド攻撃の「形」を持っていないといけない。
流れの中でサイドを突き、精度の高いクロスを放り込み、最後は高い決定力でゴールを奪う。縦パスとサイド攻撃を有機的に絡めることで、それぞれの攻撃パターンがより効果的となるのだ。
日本代表は16日、ロシアW杯アジア2次予選でシンガポールと対戦する。力関係からいって、日本が攻撃する時間は多いだろう。縦パスとサイド攻撃を織り交ぜたアタックが見られるか、注意深く見てみようと思っている。
後半21分にFW香川→FW原口、FW本田→FW永井、FW宇佐美→FW武藤に交代し、28分にはFW岡崎に代わってFW大迫が投入され、攻撃系選手4人全員が入れ替わった。
とても良い選手交代だった。シンガポール戦を皮切りにW杯予選が始まるわけだし、先発組、ベンチ組を含めたチーム全体のレベルアップを図ることは、非常に大事なことである。ロシアW杯を30歳超で迎えるMF長谷部、FW岡崎、FW本田が、W杯本大会まで現時点の力を維持できるという保証はどこにもない。
試合を通してチームの底上げを図る。これもハリルホジッチ監督の役割のひとつなのである。
(釜本邦茂/日本サッカー協会顧問)