初代監督が語る強さの“源流” なでしこ「ゴキブリ真っ黒」伝説
同年1月、インドネシアで開催された「スハルト大統領夫人杯」に参加した際の「ゴキブリで真っ黒エピソード」は、今でも女子サッカー界で語り継がれている。
「用意された宿舎は、数十年前に行われたアジア大会の選手村だったと聞かされ、もう何年も使用された形跡がない建物でした。数人ずつを割り振り、ある部屋に入ろうと選手の一人がドアを開けると天井も壁も床も一面が真っ黒。変わった色だな……といぶかった瞬間、部屋一面を覆い尽くしていたゴキブリが、人の気配で一斉に動き始めたのです。しかし、ホテルを借りるような予算もありません。大会期間中、ゴキブリ館の選手村に寝泊まりしました」(鈴木氏)
■宇佐美は岩渕に脱帽
億単位の年俸が珍しくない男子とは、待遇も雲泥の差だ。例えば、なでしこの海外組は年俸300万円前後。日本サッカー協会から年間約250万円の手当が付き、それで何とか生活しているのが現状。MF沢穂希、FW川澄奈穂美、DF鮫島彩ら国内組の一部はプロ契約を結び、500万~800万円の年俸が支給されているが、主力組のDF岩清水梓、MF阪口夢穂は所属クラブで働き、DF有吉佐織はサッカースクールの受付嬢である。