4冠射程ヤクルト山田の抑え方 権藤博氏が“奥の手”語る
■全盛期のゴジラ松井封じで効果
さて、私が相手球団の投手コーチだったらどうするか。正直、こうすれば抑えられるという確実な方法はない。根っからの長距離砲なら、穴もある。だが、180センチ、76キロと「大砲」と言うには“華奢”な山田は、本質的には中距離打者。気持ちのいいフルスイングをするものの、決して大振りではなく、スイング自体はコンパクトだ。
よく、「ヒットの延長線がホームラン」などと言う。本当は一発しか狙っていないような打者ほど格好をつけてそう言うのだが、山田の場合は本当に「ヒットの延長線」という打撃だから、投手からすれば厄介だ。
やはり、インコースを攻めるしかない。横浜監督時代、巨人の松井秀喜にそうやった。絶好調で手がつけられないゴジラを相手に、「とにかく、インハイの真っすぐ! それでいけ!」とバッテリーに厳命した。打たれても、打たれても、インハイ、インハイ。その日の試合、その3連戦では打たれたとしても、これでもかと徹底して続けることで、少しずつ打撃フォームが崩れ、次のカードの対戦で効果が出ることがあった。
残り試合はもう少ないが、今の山田を封じるには1打席単位、1試合単位で考えてはいけない。それほどの打者になっている。