“白い粉”で汚れた星は星として認定されない
「そりゃそうだが、大人になったらそういうことは分かる。今は夢を持たなくちゃな」
「おじいちゃん、スターになれなかった選手にも名前を付けてあげられないの?」
「そうしてやりたいのはやまやまだが、たとえば彗星というのはほうき星と呼ばれててな、蒸発してなくなっちゃう、危なっかしい星だ。星になりそこなって人生を放棄しちゃったから放棄星なんちゃってな」
「字がちがくない?」
「表面が白い粉とかにまみれて汚れたほうき星は星として認定されないんだな」
「かわいそうだね」
「認定が済まないうちは星と書かれない。だから『書く星済』という。なんちゃってな、わはは」
「おじいちゃん、そういう冗談はそろそろおしまいにしようよ。よるべのない人を仲間はずれにするのはいけないことだって、ガッコで習わなかった?」
「どうもすんません」
「ボクは、いじめたりいじめられたりするのは嫌いだね」