稀代の大横綱千代の富士 なぜ理事長になれなかったのか?

公開日: 更新日:

■引退後も大将然

 しかし、理事長になれなかったのは政治的な理由だけではない。「やっぱり、性格だろうね」とは、ある親方だ。

「肩で風を切って歩き、人に頭なんて下げたことがなかったほど。現役時代は『横綱』という地位がそれを許してくれたものの、親方になれば話は別。昔から近しい人間に『大将』と呼ばせていたが、九重部屋を継承した後もまさに『お山の大将』だった。年上の親方衆からは『生意気』『礼儀をわきまえていない』と不評を買っていた。かといって年下から慕われていたわけでもない。現役時代に生きの良い若手力士の噂を聞くと、その部屋に出稽古。コテンパンに叩きのめして恐怖心を植えつけていた。勝負の鬼と言っていい厳しさが、協会という組織の中では遠慮のない物言いや強引なやり方になって、年齢を問わず、親方衆からは敬遠されていた」

 別の親方が話を引き取る。

「地方場所に行っても、他の親方と飲みに行くことなんてなかった。連れ立って歩くのは、弟子の佐ノ山親方(元大関千代大海)くらい。今年の理事選で理事に返り咲こうとしていた時も佐ノ山親方が票集めに走っていたが、多くの親方から、『九重親方本人が頭を下げるなら協力してもいいけど、無理だろ?』と言われたと聞いている。おそらく、いつまでも大横綱としての気分が抜けなかったんじゃないか」

 理事長の座だけは手にすることができなかったのは、それなりの理由があるのだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕がプロ野球歴代3位「年間147打点」を叩き出した舞台裏…満塁打率6割、走者なしだと.225

  2. 2

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  3. 3

    “玉の輿”大江麻理子アナに嫉妬の嵐「バラエティーに専念を」

  4. 4

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  5. 5

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  1. 6

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 7

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 8

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 9

    大江麻理子アナはテレ東辞めても経済的にはへっちゃら?「夫婦で資産100億円」の超セレブ生活

  5. 10

    裏金のキーマンに「出てくるな」と旧安倍派幹部が“脅し鬼電”…参考人招致ドタキャンに自民内部からも異論噴出