稀代の大横綱千代の富士 なぜ理事長になれなかったのか?

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 幕内優勝回数31回(歴代3位)、幕内通算807勝(同3位)、53連勝(同3位)――。

 先月31日に亡くなった千代の富士(享年61)は、相撲史に燦然と輝く成績を残した。「ウルフ」の愛称で親しまれ、89年には相撲界で初となる国民栄誉賞を受賞。実績はもちろん、人気、知名度も群を抜く、角界のスーパースターだった。

 これだけの成績を残しながら、しかし、協会ではナンバー2の事業部長止まり。本人が望んだ理事長はおろか、選挙のたびに理事になるのも四苦八苦だった。相撲評論家の中澤潔氏は「他の親方衆から反感、やっかみを買っていたのではないか」と、こう話す。

「角界初の国民栄誉賞といっても、多くの親方は『千代の富士の前に大鵬さんがもらうべきじゃないか』と思っていたでしょう。事実、大鵬が国民栄誉賞を受賞したのは亡くなった後ですからね。箔付けが早すぎたということです。少数派閥の高砂一門であることも不利に働いた。今の角界は最大派閥の出羽海一門の意向を無視して理事長にはなれない。その出羽海一門には、2歳上で理事長に6度選出された故・北の湖(元理事長)がいましたから」

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