巨人2年連続V逸 敗因と今後の暗黒時代をOB2人が多角解説
「サインが送りバントなら、他球団が恐れる鈴木という切り札を出す意味が全くない。他の選手でもいいわけです。無死一塁を盗塁によって無死二塁にできるのが鈴木の強み。宝の持ち腐れですよ。よく走る広島はリーグダントツの盗塁数(109)。対照的に巨人は走らない(56盗塁で同4位タイ)。広島の半分ですから。かつてのように本塁打で圧倒できず、長打力が落ちているのに足も使えない。昨季まで2年連続でリーグトップの盗塁数を誇っていたが今季は激減。走らない鈴木に象徴される『各駅停車野球』では、得点力がリーグ最下位なのも当然です」
■前も後ろも不安
得点力不足は言うまでもないが、投手陣も暗黒時代到来を予感させる。元巨人投手コーチの中村稔氏はこう見る。
「エースの菅野と抑えの沢村の主力投手2人に物申したい。菅野は球数が多すぎる。六回くらいで100球に到達してしまうことが多いでしょう。今の投手全体に言えることだが、フォーク、スプリット、チェンジアップ、ツーシーム……と変化球をコネくり回しすぎる。縫い目に指をしっかりかけて手元でピュッと伸びる直球を追求していないからです。沢村もそう。与四球や被本塁打のイメージがあって見ていて怖いですね。セーブの数はトップとはいえ、防御率は2・22。4・5ゲーム差に詰め寄って迎えた広島との直接対決(8月7日)の九回2死から同点本塁打を浴びたように、絶対的な存在にはなっていない。細かい制球力がないこと、精神面の問題もあるでしょう。球速は速くても球に伸びがないから打たれるんです」