要求無制限でビデオ判定乱発 WBC“審判不在時代”が来るか
リプレーの嵐が吹き荒れた。
米国との準決勝、最初のソレは二回表。1死走者なしの場面でホスマーのゴロを松田(三塁)がさばくも、中田(一塁)の足がベースから離れていたと、米国側がリプレーを要求。覆らずアウトとなったが、これは序章にすぎなかった。三回表、先頭のポージーが左前打で出塁後、スタントンの三ゴロで5-4-3の併殺かと思ったら、菊池が二塁ベースを踏んでいないと、またしても米国が抗議。覆って二塁はセーフになった。
米国怒涛の「ビデオ攻撃」に小久保監督も応戦。三回裏の1死一塁から山田の打球をファンブルしたクロフォード(遊撃)が二塁へ送球してアウトとされるや、すかさず小久保監督がベンチを出た。リプレーの結果、判定は覆らず、2死一塁。直後に山田が盗塁すると、今度は米国が検証を求め、これまた結果はセーフのままといったアンバイである。結局、ビデオ判定は計4回。前日のプエルトリコ対オランダでも4度の検証が行われた。
09、13年の大会でのビデオ検証は、1次ラウンドから本塁打の判定のみだった。今大会は1、2次ラウンドは本塁打限定、決勝トーナメントでは無制限にビデオ判定を要求できるシステムが初導入されたことで、やらなきゃ損とばかりに監督はすぐにベンチを飛び出し、そのたびにゲームの流れが止まって試合時間は長くなるばかり。審判の権威なんてあったもんじゃない。
日本は06年の米国戦で「世紀の誤審」に泣いた苦い経験があるものの、常に正確な判定を望むなら、いずれ選手のスパイクとベースにチップを埋め込み、センサーでのアウト、セーフを判定する「フェンシングスタイル」になるかもしれない。