4試合連続完封ならず 菅野の投球を城之内氏はどう見たか
快挙への挑戦は、あっけなく幕を閉じた。
9日の阪神戦で、52年ぶりとなる「4試合連続完封」の偉業に挑んだ巨人のエース・菅野智之(27)が、初回にいきなり失点。
先頭の高山に二塁打を打たれると、1死三塁から3番の糸井に右前適時打を浴びた。東京ドームが大きなため息に包まれる中、2死一、三塁とピンチを広げ、6番の鳥谷にも左前に運ばれて2失点。三回にも先頭の北條に内野安打で出塁を許すと、4番の福留に初球のシュートを右翼スタンドへ運ばれた。結局、8回9安打4失点でマウンドを降りた。
菅野は、2日のDeNA戦で89年の斎藤雅樹に並ぶ球団28年ぶりの3試合連続完封を達成。この日のマウンドは、〈城之内邦雄が果たした65年以来の快挙なるか!〉とスポーツマスコミが大騒ぎする中で迎えた。
■変化球多投の背景
「打たれた原因のひとつはそれでしょう」
巨人OBの評論家、高橋善正氏がこう続ける。
「前3試合に比べると、コースが甘く、球のキレが悪かったのは確か。ただ、一番の違いは投球の組み立てです。この日の菅野は初回から変化球を多投。直球の割合が明らかに少なかった。4試合連続完封の記録をイヤでも意識させられ、気持ちが守りに入った。慎重さは投手に必要ですが、点はやれない、打たれちゃいけないと、それが過剰になると、変化球でかわそうかわそうとしてしまう。それが投手心理で、この日の菅野は典型的だった。150キロ超の直球を主体にしてこそ、変化球が生きる。それが最初から変化球、変化球では打者は怖くない。思い切って踏み込んでいける。福留の本塁打はまさにそう。もちろん、菅野だってそんなことは百も承知だろうが、それができなかった。記録を意識し過ぎたからです」