今季で引退のボルト 4連覇中「世界陸上200m」欠場の本音
今季限りでの引退を表明している陸上男子短距離のウサイン・ボルト(30=ジャマイカ)。現役生活最後のレースに選んだ世界選手権(8月4日開幕=ロンドン)は100メートルと400メートルリレーの2種目に絞り、4連覇中の200メートルは欠場することになった。21日のダイヤモンドリーグに出場するためモナコに滞在中の本人が19日に会見で明かし、「目標はただ勝つこと。勝者のまま現役を退きたい」と話した。
3大会連続3冠を達成した昨夏のリオ五輪以降は古傷の左膝痛の再発や背筋痛を患ったこともあり、今季のレースは100メートルのみで、200メートルは調整不足だ。「勝者のまま退く」という通り、勝算のある種目に絞って有終の美を飾りたいのは偽らざる本音だろうが、ボルトの狙いはそれだけではない。
世界最速男は最後のレースで元世界最速男への積年の恨みを晴らすというのだ。元世界記録(9秒86=1991年)保持者のカール・ルイス(56=米国)は男子短距離界を席巻するジャマイカナショナルチームについて「精密な検査を受けて身の潔白を証明できる選手が何人いるのか」などと発言。かねて、ボルトも含めて同国の選手のドーピング違反を示唆してきた。今年1月には2008年北京五輪400メートルリレーのメンバーだったネスタ・カーターの禁止薬物使用が発覚し、同種目の金メダルを剥奪された。ルイスの指摘通りになり、ボルトの面目は丸潰れだった。
そのルイスは現役最後のレース(97年8月)は10秒51の平凡なタイムに終わった。ボルトとしては今回の世界選手権で2種目を制してルイスの鼻を明かす思惑もあるというのだが……。