決定的亀裂の要因…金本監督が「掛布解任」を決めた事件
さらにこのOBは続ける。
「平田(勝男=現一軍チーフコーチ)や木戸(克彦=球団本部部長)が二軍監督時代は、それこそ鉄拳も辞さずの厳しい指導だった。送球ミスを怒られたある捕手は怒声にビビってイップスになったほど。一軍選手はその頃、『二軍にだけは絶対に行きたくない』と震え上がっていた。それが今は、一軍より二軍の方が甘いのですから」
■コーチが選手に謝罪
そんな両監督の亀裂を決定的にする事件が起きていた。
「あるコーチがミスした選手に珍しく『しっかりやれよ』と怒ったのです。すると掛布監督はそのコーチを選手の前で叱責し、頭を下げさせた。ますますコーチ陣は選手に厳しいことが言えなくなってしまったそうです。この一件はすぐに金本監督の耳に入ったといいます」(テレビ関係者)
金本監督と掛布二軍監督の指導方針は、どちらが正しいとか間違っているとかいう問題ではない。例えば、広島の主力になった田中、丸、菊池、鈴木、安部などは、今でも12球団一の練習量を誇る広島だからこそ、大きく育ったともいえる。
一方、二刀流の大谷(日本ハム)やトリプルスリー男の山田(ヤクルト)が、怒声や鉄拳指導で今のような一流選手になったかは疑問だ。金本監督は、解説者時代の掛布氏の打撃理論に共感を覚え、自ら希望して二軍監督に据えたが、最後は水と油になってしまった。