決定的亀裂の要因…金本監督が「掛布解任」を決めた事件
■選手の長所を褒めて自主性に任せる
一軍首脳陣は「鉄は熱いうちに打て」の例え通り、中でも若手の多い二軍ではなおさら厳しい練習が必要との考えで一致しているし、掛布二軍監督にもその方針に従って欲しかった。しかし、二軍の現場は金本監督が求める「地獄の練習」とはあまりにかけ離れたものだったという。
前出のOBが言う。
「千葉の習志野高からテスト生同然のドラフト6位で阪神入りした掛布は当時、マッチ棒みたいに細かった。バットを振って、振って、遠征先では酒を飲んで宿舎に戻ってからも夜中にバットを振っていた。不断の努力で4番に成長した。でも、平成生まれの今の選手に同じことを求めても無理だし、強制的な練習には効果がないという考えだった。選手の長所を褒めて、練習はある程度、自主性に任せる。それが金本監督には許せなかった。自分が激しく怒って二軍に落とした江越、新井良らが二軍では首脳陣から厳しいことは何も言われない。一軍では休日返上でバットを振らされていた高山には、空振り三振しても掛布監督から『いいよ、今のスイングは』という声が飛ぶ。相手ベンチから『阪神は三振しても褒められるのかよ』と失笑を買ったものです」