FW久保裕也ブラジル戦へ「森岡が一緒なら得点機増える」
10日のブラジル戦の試合会場は、仏北部のベルギー国境にほど近いリール。近くにはハリルホジッチ監督の自宅がある。ここから50キロほど離れたところでプレーしているのが、ベルギー1部ヘント所属のFW久保裕也だ。本田圭佑(パチューカFW)、岡崎慎司(レスターFW)、香川真司(ドルトムントMF)の「BIG3」不在の中、現地で彼に対する注目度が上がるのは間違いない。「僕はこういうレベルの相手と一度も戦ったことがない。自分に足りないものを感じに行きたい。楽しみです」と目を輝かせる生粋の点取り屋にフォーカスした。
10月28日のベルギー1部シャルルロア戦。0―2の劣勢から久保はペナルティーエリア左隅でDFと駆け引き。右に切り返して右足を一閃。芸術的な一撃で鮮烈な印象を残した。
「とっさの判断ですけどこぼれ球を拾ったところから自分で行こう、と。感覚として『あそこしかない』というコースにすんなり蹴れたんで良かった」と復調の手ごたえをつかんだ様子だった。
■「考え過ぎるとドツボにはまるタイプ」
今年1月にスイス1部のヤングボーイズからヘントに移籍。17試合11得点と凄まじいゴールラッシュを見せた。日本代表でも本田の定位置である右FWのポジションを奪取。瞬く間にスターダムにのし上がった。しかし今季は、7月末の開幕から1カ月半もノーゴールと予期せぬ苦境に直面する。代表でもロシアW杯出場の懸かった8月のアジア最終予選のオーストラリア戦(埼玉)で同じリオ五輪世代の浅野拓磨(シュツットガルトFW)に先発の座を奪われた。
この悪循環には戸惑いを覚えたことだろう。そこで久保は「ゴールは入るときは入る。入らないときは入らない」と割り切り、楽観的に捉えることを心がけたという。
「自分は考え過ぎるとドツボにはまるタイプ」と自覚する通り、10代の頃から好不調の波を繰り返してきた。その経験を糧にしながら改善の努力を続け、10月に入るとリーグ戦3得点。通算得点も4に伸ばし、ついにトンネルから抜け出した。
「僕は年代別の世界大会もリオ五輪も行っていない。五輪前にブラジル五輪代表との親善試合に出た仲間が『ネイマールが凄かった』と言ってたけど、ブラジル代表選手の個の能力が、もの凄く高いのは間違いない。そういう相手に対しても自分にやれることを全て出すだけ。一番大事なのは強気でビビらずやること。気持ちの部分ですね」