FW久保裕也ブラジル戦へ「森岡が一緒なら得点機増える」
すごいパスを出せるし決定機も作れる
10日のブラジル戦に向け、日本代表は5日から試合会場の仏リールで合宿を行っている。隣国ベルギーから自ら車を運転し、宿舎に一番乗りしたヘントFW久保裕也は、合宿初日から精力的にトレーニングをこなしているが、合宿を取材していると同じベルギー1部でプレーするベフェレンMF森岡亮太(26)と絡むシーンが目立つ。自身の4ゴールを上回る「7得点8アシスト」の森岡に対して「彼は最初から絶好調。結果でも(リーグの)順位でも追いつけるように(代表2連戦の)ここから巻き返したい」と話す。
合宿初日は、フランクフルトMF長谷部誠ら欧州組5人で行われ、森岡と談笑しながらウオーミングアップする久保の姿があった。翌6日のサッカーテニスでもコンビを組み、息の合ったプレーが随所に光っていた。
■僕がタイミング良く裏に抜け出せれば
久保にとって森岡は3歳上の先輩である。
京都U―18から2012年にトップに昇格した久保。京都・久御山高校から10年に神戸入りした森岡。「高校生の時に練習試合とかした経験もないし、亮太君とはこっち(ベルギー)で初めて知り合いました」と久保は言う。今季から同じリーグで戦うようになり、しばしば食事を共にするなど良好な関係を築いている。そのことは合宿中の2人の一挙手一投足から色濃く伝わってきた。
「今、亮太君と僕は(所属)クラブでトップ下をやっている。彼はすごいパスを出せるし、決定的なチャンスもつくれる。日本代表で一緒にプレーする機会があれば、いいボールが配給されるんで得点チャンスが増える可能性が高い。僕がタイミング良く(DFの)裏に抜け出せればゴールにつながる」と久保は虎視眈々と1点を狙っている。
久保は、3月のUAE戦(アルアイン)で見事な先制弾を決めた。
マルセイユDF酒井宏樹のタテパスに反応。相手守備陣の背後を取って右足で決めた一撃。これが、W杯最終予選初戦黒星スタートで苦しい状況に陥っていたハリルホジッチ監督を救ったのは紛れもない事実である。
「あの時は代表の責任など感じる間もなく、フレッシュな気持ちでスムーズにプレーできていたから、ああいう形で点が取れました」と久保は大きなインパクトを残したゴールをブラジル、ベルギーの強豪相手に再現したいと思い描いている。
森岡がそのアシスト役になってくれたら――。
久保にとって理想のシナリオと言えるだろう。
森岡という力強い援軍を得て「背番号11」久保が、強豪相手にゴールを決めるシーンが見たい。
(取材・構成=サッカージャーナリスト・元川悦子)