世界選手権ワンプレーで棄権 バド奥原希望に足りないもの
世界選手権女王が、早々とコートを去った。
29日に本戦が開幕したバドミントンの全日本総合選手権(東京)。リオ五輪銅メダルの奥原希望(22)が女子シングルス1回戦の第1ゲームで1点を先取した直後、主審に棄権を申し出た。9月のジャパン・オープンで痛めた右膝の状態が思わしくなく、右肩痛で途中棄権した昨年に続くリタイアである。
試合前から棄権すると決めていたそうで「この1年が東京(五輪)につながると信じている。必ずまた強くなって戻ってくる」と、復活を誓った。
今年8月の世界選手権を制した際には「勝って当たり前、負けて騒がれる選手になりたい」と話した。一時は無敵を誇った女子レスリングの吉田沙保里や伊調馨を目標に掲げたが、奥原が「絶対女王」として君臨するには強い精神力が必要だ。
奥原はバドミントン関係者の誰もが口を揃える勝利への執着心の持ち主だが、痛みに対する弱さは致命的だ。
身長156センチと小柄だけに上背のある海外勢と互角に渡り合うには、体全体を使ったプレーを強いられる。体への負担は避けられず、これまでも度重なる故障に泣いてきた。奥原の東京五輪での金メダル取りは痛みとの付き合い方にもかかっている。