JRA女性年間最多勝 藤田菜七子「2017年と2018年」を語る
「“ナナコを乗せて良かった”と言っていただけるレースを」
――そして3月になり、トレセンでヘルメットが黄色(1年目)から青色(2年目以降)になりました。何か心境の変化はありましたか。
「いよいよ黄色じゃいられないという不安もありましたね。でも、学生時代から根本先生のもとで3人が青帽(丸山騎手、野中騎手)になるのかな、なれたらいいな、と思っていたのでうれしかったし、より一層頑張らねば、と気が引き締まりました」
――4月からはコンスタントに勝ち星を挙げるように。
「馬が頑張ってくれました。その中でもコパノアラジンの存在が大きかったですね。五百万→一千万と連勝して自信をつけさせてくれましたから。一千万の時は“昇級初戦でどこまでやれるかな”って思ってたんですよ。レースも出して行ったのでハナは切れましたが、道中はつつかれていましたし。でも、最後は迫ってきた②着馬を突き放して根性を見せてくれました」
――ゴール板を過ぎた後に珍しく、小さくガッツポーズをしてましたね。
「ええ。ビデオに写ってないところではたまにやってるんですけどね(笑い)」
――そして、10月21日の新潟11R飛翼特別をベルモントラハイナで勝って女性騎手の最多勝記録を塗り替えました。自身にとっても初めてのメインレースの勝利。
「自分としては思っていた位置を取れなかったし、最後も狙った進路が狭くなって切り替えたりとあまり上手に乗れなかったんですが……馬に助けられました」
――17年はデビュー年の騎乗数294鞍を優に超えて、400鞍に迫るもの。印象に残るベスト、ワーストレースがあれば教えてください。
「ベストはシトロプシス(11月12日福島2R3歳上五百万下・牝)ですね。ペースが速くなりそうと読んで、その通りの流れになって1コーナーで“いいな”って(笑い)。道中は少しポジションが後ろでしたが、最後は鼻差で差し切ってくれました。気持ち良かったですね。ワーストはコパノビジンの⑥着(5月28日東京7R4歳上五百万下)。モタれながら掛かって、と一番やっちゃいけない形。しかも直線では前が壁になって追えずで反省しかないものでした」
――とはいえ、その後は2回連続騎乗して②→①着とリベンジを果たしました。
「関係者の方々が乗せ続けてくれたおかげです。結果を出せて何よりホッとしました」
――ところで、今年から開催されるヤングジョッキーズシリーズにも参戦。JRA東日本1位で本戦に駒を進めました。
「地方のいろんな競馬場で乗れて、ジョッキーとも交流できて楽しかったですね。本戦に自分の同期がたくさん出てきてくれたのも良かったです」
――同期6人中4人が本戦出場ですね。森裕太朗騎手はJRA西日本1位でJRA内でもトップでの出場。
「競馬学校時代、教官に怒られるのは“ナナコー”か“モリー”のどちらかって決まってたんですけどね(苦笑い)。自分ももっと頑張らないとって、いい刺激になります」
――18年はさらに飛躍の年にしたいですね。目標を教えてください。
「やはり筋力をつけることですね。馬乗りは力じゃないという方もいますが、あるに越したことはないですから。もちろん技術もさらに磨いてオーナーをはじめ、関係者が“ナナコを乗せて良かった”と言っていただけるレースをしていきたいです。ファンの方々の声援も本当にうれしくて励みになります。もっと頑張りますので、また応援よろしくお願いします!」
▽ふじた・ななこ
1997年8月9日生まれ、20歳。茨城県出身。身長157・4センチ、体重45・6キロ。獅子座、A型。美浦・根本康広厩舎所属。16年にJRAデビュー。同期には木幡巧也、菊沢一樹、坂井瑠星、荻野極、森裕太朗がいる。17年12月24日終了時点でJRA通算20勝。