JRA女性年間最多勝 藤田菜七子「2017年と2018年」を語る
藤田菜七子(20)は2016年3月、16年ぶりのJRA生え抜き女性ジョッキーとしてデビュー。殺到するメディアに戸惑いを見せながらも、主戦場であるJRAの各競馬場はもちろんのこと、地方、海外と連日、飛び回って技術を磨いた。翌17年にはその厳しい経験が実戦にフィードバック。女性ジョッキーの年間最多勝を更新。その後も勝ち星を重ねて存在感を増している。18年はさらなる飛躍へ――。あどけなさを残す表情ながら静かに闘志を燃やす。
――17年は増沢(旧姓牧原)元騎手の持つJRA女性ジョッキーの年間最多勝記録11勝(97年)を20年ぶりに更新しました。
藤田騎手「関係者の皆さんがたくさん乗せて応援してくださったおかげです。技術的にはまだまだなのに本当にありがたいこと。それに応えてもっと結果を出さなければいけなかったな、と反省もしています」
――騎乗姿勢も安定してきたように見えます。
「ありがとうございます。昨年(16年)までは競馬学校で習っていたトレーニングを一人でやっていたんですが、バランスは自分だけだと分からないんですよね。例えば、どちらかの足に重心がかかり過ぎてるのかとか。なので、年明けから体幹を鍛えるトレーナーさんについてもらって指導してもらってるんですよ。そのおかげかもしれませんね」
――1月5日、17年最初の騎乗だった中山2R3歳未勝利で、パトリヨティスムが取り消した(右後肢挫創)時は正直“幸先が悪いな”と感じましたが。
「実は、あれは自分がトレセンで放馬してケガをさせてしまってのものだったんです。これでは“今年のリズムが悪い”と、競馬の直後、近くの神社にお参りに行きました」
――その効果がなかなか出ず、17年の初勝利は2月25日の小倉にズレ込んでしまいました。
「勝てずにちょっと焦っていましたね。勝たせてくれたリルティングインク(8R4歳上五百万下・牝)は何回か乗せてもらって癖を掴んでいたので、馬場が悪くなれば、と思っていたんですよ。良馬場発表でも開催が進んで荒れ気味になった芝が合いましたね。先に抜け出した元気先輩(丸山騎手=ユキノカトレア)をかわした時はうれしかったです(笑い)」