カヌー薬物混入で露見 選手を狂わす東京五輪の異様な空気
カヌー・スプリント日本選手権(昨年9月)に出場した鈴木康大(32)が小松正治(25)の飲み物に禁止薬物を混入していたことが発覚。2人は親友でありライバル関係でもあった。
日本国内で他者からの禁止薬物混入によるドーピング違反発生は初。鈴木は8年間の資格停止処分となり、連盟は除名も検討している。
東京五輪出場が絶望的になることを恐れて犯行に及んだという鈴木は、これまでも小松のパドルを盗んだり、他の選手のパドルにヒビを入れたり、さまざまな妨害行為を繰り返していたというから常習犯。“手癖”の悪さは論外だが、スポーツ庁の鈴木大地長官は「タチが悪い。五輪に出場したいという強い気持ちが前面に出すぎてスポーツ本来の目的が希薄になったのでは」と言った。
自国開催はこれまでの五輪とは注目度がまるで違う。マラソンの川内優輝が日刊ゲンダイのインタビューで「東京五輪という大義があって、誰もがそこに向かっていかなければいけない。少しでも横道にそれたら『おまえは非国民だ』みたいな雰囲気が嫌」と話していたように、アスリートたちも異様な空気を感じている。それと同時に、東京に出場するか否かでその後の人生は大きく変わる。