高梨沙羅の平昌メダルにまた難敵 元女王イラシュコの素顔
本番直前に強敵が帰ってきた。
女子ジャンプの高梨沙羅(21)は、平昌五輪前最後のW杯第14戦も4位に終わった。昨年2月の平昌五輪プレ大会(昨季第18戦)に勝ってから11試合も優勝がない。踏み切りに不安を抱えたまま現地入りすることになるわけだが、ここにきてやっかいなライバルが現れた。昨年11月の右膝手術から復帰して2戦目(第14戦)に優勝したダニエラ・イラシュコ・シュトルツ(34=オーストリア)だ。
新女王M・ルンビ(23=ノルウェー)の7連勝を阻み、2年ぶりとなる優勝カップ(W杯通算13勝目)を手にしたベテランは、輝かしい実績の持ち主だ。
1999年に初めて行われた女子の国際大会から出場し、すぐに女王に君臨。2011年世界選手権個人優勝。15年同銅、17年同団体銀。コンチネンタル杯は09年シーズンから3連覇。W杯は14―15年個人総合優勝、翌年2位。前回のソチ五輪では銀メダルを手にしている。
「ソチ五輪前年の1月にW杯で転倒し、左膝を手術。その頃に同性婚している。傷が癒えて臨んだ五輪で銀メダルを取ると引退を考えたが、自国の若手が伸び悩み、国のために競技続行を決めた。メンタルが強く、急成長を遂げたルンビやアルトハウス(21=ドイツ)の弾丸のようなジャンプではなく、柔らかく飛び出し空中で風を受けて距離を出す。今回の会場(スロベニア・リュブノ)のジャンプ台はアプローチの平らな部分が短く、踏み切りのタイミングが難しい。経験豊富な彼女が勝ったのはうなずけます」(五輪記者)
今季ベストが2位(1回)の高梨は「(五輪前の最終戦)混戦の中だったが、五輪も同じような試合になる」と予想する中、ソチで金のフォークト(25=ドイツ)も、13、14戦は5位と調子を上げてきた。イラシュコの復帰もあり、高梨は表彰台も厳しくなってきた。