著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

オリ金子に思う “頭髪推移”に似たベテランエースの落日

公開日: 更新日:

 だが、金子はそういう短絡的な同調圧力に屈するどころか、どこかそれをあざ笑うかのようにしながら、己の道を鼻歌まじりに歩いているようなところがあった。それでいて、最多勝2回の他に最優秀防御率や沢村賞、MVPなど数々のタイトルに輝く、球界を代表するエースでもあった。

 先ほどから文末を「あった」と過去形にしているのは、今季の金子があまりにパッとしないからだ。開幕からここまで6試合に先発して、いまだ勝ち星なしの4敗。防御率も4点台後半と内容も芳しくない。昨年は12勝を挙げたものの、防御率は3年連続3点台にとどまっており、かつてのような圧倒的な投球は鳴りを潜めている。もともと故障が多かったことに加え、年齢も早いもので34歳。もしかしたら、投手としての最盛期を過ぎてしまったのかもしれない。

 これはもう当たり前のことなのだが、どんな一流投手でも年齢とともに衰えはやってくる。松坂大輔のように落ちるところまで落ちきってしまえば、あとは開き直って復活を期すのみだが、金子のような下り坂の初期段階には重苦しい切なさを感じてしまう。衰えたあとよりも、衰え“かけている”ときのほうが、人は目を背けたくなるのだろう。なんとなく男性の頭髪推移にも似ている。

 と思っていたら、阪神能見篤史が11日の広島戦で4回9失点と大炎上し、12日に一軍登録を抹消された。能見も今月で39歳になる。ベテランの落日は実に切ない。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…