暴力も見えない所で スポーツ界がますます陰湿になる理由
昨年日刊ゲンダイは、ルポライターの岡邦行氏による「日本スポーツ殺人指導の実態」を連載。熱中症で倒れた中学のラグビー部員が、顧問から水も与えられず「演技は通用せんで」と放置され息を引きとった事例などが大きな反響を呼んだ。
なぜ、スポーツ指導者の心はこれほど歪んでしまったのか。スポーツファンで作家の吉川潮氏が言う。
「本来、人の上に立つべき政治家や経営者の多くは、人格や見識が問われるもの。最近は、その人格や見識は関係ない。根回し、人脈、カネなどでのしあがる。しかも、不祥事が起きても責任をとらない、責任が及ばない仕組みをつくる。モリカケ問題、財務省の公文書の改ざんを見てもよくわかる。上に立つ者といえば、日大や加計学園の理事長が表舞台に出てこないのもヤクザの世界と同じ。こういう風潮が当たり前になれば、それが教育現場やスポーツ界にも及ぶものです」
スポーツ庁の鈴木長官は選手強化を打ち出し、東京五輪で金30個を目指すというが、五輪で金メダルを取るより大事なことはある。スポーツの現場を早急に改革しなければこの「流れ」は止まらない。