決勝Tベルギー戦惜敗が覆い隠す 日本サッカーの深層と今後
2―0とリードしながら、同点に追い付かれた揚げ句、アディショナルタイムでまさかの逆転負けを食らったサッカーW杯の日本代表。
日本時間3日午前3時スタートの決勝トーナメント1回戦。日本は世界ランク3位のベルギーを追い詰めながら、しかし最後の最後でうっちゃられた。ネット上には「よくやった」「夢を見させてもらった」という書き込みがあふれ、テレビや新聞の電子版も「惜しくも8強ならず」と報じた。
これまでの報道も含め、スポーツマスコミは日本代表の決勝T進出、16強入りを「快挙」「快進撃」と、しきりにヨイショしている。
が、本当にそうか。ほとんどすべてのマスコミが大騒ぎするほどの「快挙」で「快進撃」か。
■「決勝T進出は単なる僥倖」
日本サッカー協会は代表監督を本大会の2カ月前になって解任。土壇場にきて新監督の人選やメンバー選びを含めて振り出しに戻す手法やスタンスは猛烈に批判された。その代表メンバーにしても新味なし。昔の名前で出ているような連中がほとんどだったから、1勝すれば御の字といったあんばいで期待度ゼロ。というよりマイナスからのスタートだっただけに、16強入りが望外の結果だったのは理解できる。
しかし、16強入りは02年、10年と過去に2度ある。今回もまた8強の壁に阻まれたわけで、三度目の正直とはいかなかったに過ぎない。おまけに16強に進出した過去2大会は、いずれも1次リーグで2勝しているが、今回は1勝(1分け1敗)しただけだ。
「日本の戦いぶりを見れば、決勝T進出は単なる僥倖、運に恵まれただけじゃないですか。快挙でも快進撃でもないと思いますね」とスポーツライターの工藤健策氏がこう言った。
「初戦のコロンビア戦の前半3分に相手がハンドで退場、PKをもらって、なおかつ数的優位の状況が転がり込んできたことでチームは波に乗っただけ。3戦目のポーランド戦で負けていながら他力本願のボール回しに終始する選択を取らざるを得なかった事実が何より、日本代表の現状を物語っているのではないでしょうか」