プライド捨て…横綱稀勢の里が宮城野部屋に初出稽古の背景
半眼開きの寝ぼけ横綱、ようやく覚醒か。
7場所連続休場中の稀勢の里(32)は2日、九重部屋で白鵬(33)と三番稽古を行い、「目が覚めたような感じ」と話していた。すると3日にさっそく、白鵬のいる宮城野部屋に出稽古に赴いたのだ。
白鵬との相撲こそかなわなかったものの、それでも胸を借りてぶつかり稽古を行った稀勢の里は、
「昨日の稽古で感覚とスピードが出てきた気がしたので今日もと思った」
と、満足げ。宮城野部屋への出稽古は自身初。なりふり構っていられないのだろう。
稀勢の里は大関時代からさまざまな親方に、「強い力士のところに出稽古に行かないと強くなれないぞ」と、耳にタコができるほど言われていた。しかし、ライバルと見定めていた白鵬の元に赴くのはプライドが許さなかった。それが出稽古先でたまたま白鵬とかち合い、向こうから「稽古しよう」と声をかけられて胸を合わせた。遅すぎたとはいえ、自分に足りないものが何か、ようやく気付いたようだ。
もっとも白鵬にすれば、7月場所は休場濃厚とみられる稀勢の里の状態がわかれば、それでよし。7月場所で当たらないであろう相手と相撲を取る必要はない。ぶつかり稽古のみであしらったのも当然だ。