ジョコビッチ完全復活 錦織との差は「チーム戦略」にあり
5月の全仏(クレー)、3週間後のウィンブルドン(芝)、8月末の全米(ハード)と、徐々にグランドスラムの条件は自分に良くなる。メジャーのプレッシャーを使って加速する、そのチーム戦略があったから敵役になってまでプレーしたのだ。
準優勝のケビン・アンダーソンも同じだ。世界10位まで上がりながら2016年に、かかとの手術など故障の連鎖にはまった。
昨年1月の全豪から復帰できたが、これを回避するという難しい判断が当たった。昨年の全米で決勝進出。今回も準々決勝でフェデラーに逆転勝ち、準決勝ではイスナーを6時間36分の末に倒した。
ジョコビッチは混乱のセルビア、アンダーソンは遠い南アフリカ出身。精神力の強さにそうした背景もあるだろうが、一人では勝ち抜けない。チーム戦略がツアーのカギだ。
復帰を狙う錦織圭は今回、ウィンブルドンで初めてベスト8に入った。芝が不得意とはいえ、テニスがうまく面白い。負けそうで負けない。
だが、勝ちそうで勝たない。4年前の全米準優勝も今回も、狙わず期待せずの結果で、突破力不足はそこに起因すると思う。