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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

ジョコビッチ完全復活 錦織との差は「チーム戦略」にあり

公開日: 更新日:

 5月の全仏(クレー)、3週間後のウィンブルドン(芝)、8月末の全米(ハード)と、徐々にグランドスラムの条件は自分に良くなる。メジャーのプレッシャーを使って加速する、そのチーム戦略があったから敵役になってまでプレーしたのだ。

 準優勝のケビン・アンダーソンも同じだ。世界10位まで上がりながら2016年に、かかとの手術など故障の連鎖にはまった。

 昨年1月の全豪から復帰できたが、これを回避するという難しい判断が当たった。昨年の全米で決勝進出。今回も準々決勝でフェデラーに逆転勝ち、準決勝ではイスナーを6時間36分の末に倒した。

 ジョコビッチは混乱のセルビア、アンダーソンは遠い南アフリカ出身。精神力の強さにそうした背景もあるだろうが、一人では勝ち抜けない。チーム戦略がツアーのカギだ。

 復帰を狙う錦織圭は今回、ウィンブルドンで初めてベスト8に入った。芝が不得意とはいえ、テニスがうまく面白い。負けそうで負けない。

 だが、勝ちそうで勝たない。4年前の全米準優勝も今回も、狙わず期待せずの結果で、突破力不足はそこに起因すると思う。

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