ケタ違いの“集金力” 吉田沙保里にレスリング代表監督の目
「全てやり尽くした。世界で若手が活躍するのを見て、この子たちにバトンタッチしてもいいのかなと、心が決まりました」
引退を表明した女子レスリング五輪3連覇の吉田沙保里(36)が10日に会見し、決断の理由をこう話した。
銀メダルに終わったリオ五輪後は、女子代表で兼任コーチを務めてきたことから2020年の東京五輪では「選手たちを精神的に支えていけたら」と、セコンドにつくプランも明かした。
五輪、世界選手権合わせて16度も制した実績と、若手からの人望の厚さを評価し、「将来の代表監督」に推す協会幹部は少なくない。早ければ、24年パリ五輪で指揮を執る可能性もあるが、頼りにされるのは指導力以外に集金力もある。
栄和人前強化本部長は在職中に、「協会は資金力が乏しい。お金のある団体がうらやましい」と、こぼしていたという。レスリングは男女とも、五輪、世界選手権での実績の割には注目度が低く、スポンサーが集まりにくいといわれる。
自国開催の五輪が終われば、多くの競技がスポンサーから見向きもされなくなる恐れもある。国民栄誉賞を受賞し、タレントとしても知名度抜群の吉田が協会の要職に就けば話は別。吉田監督の誕生とともに女子レスリングだけは潤うことになるのか……。