MLB日本開幕戦を見て30年以上前のオグリビーを思い出した
マリナーズとアスレチックスの日本開幕戦で、改めてメジャーリーガーたちのプライドを感じさせるシーンがあった。
5本の本塁打が飛び出した初戦。感心したのはスイングスピードの速さや打球の飛距離だけではない。スタンドインさせた5選手が5選手とも、淡々とダイヤモンドを一周する。日本のプロ野球で見られる、自らの仕事を誇示する派手なガッツポーズもバンザイもアピールもない。三回に逆転の満塁本塁打を打ったマリナーズのサンタナですら、笑顔ひとつ見せずにハイスピードでベースを回ってベンチに帰った。
1987年にア・リーグ本塁打王の実績を引っ提げて近鉄にやってきたベン・オグリビーがそうだった。2年間で46本塁打をマークしたが、喜びをあらわにする彼の姿を見た記憶がない。本塁打でも凡打でも常に全力疾走で、試合を決める一発を放っても、あっという間にベンチに戻り、静かに定位置に座っていた。
ただ1度だけ、日生球場でロッテの抑え・牛島和彦からサヨナラ本塁打を打ったとき、珍しく派手なガッツポーズを何度もしてダイヤモンドを回ったことがあった。三塁ベースを通過したところで我に返った彼の第一声はこうだった。