「ブレないスポーツ報道」の著者 新聞TVの自主規制に疑問
――新聞記者時代、プロ野球の取材からスタートしたそうですね。
「我々の時代のプロ野球担当はサツ回り(警察担当)と同じでした。そこで取材の基本をたたき込まれ、一人前になってから他のスポーツを担当しました。気骨のある先輩記者の背中を追いながら、朝駆け、夜回りを重ねました。空振り三振の連続でしたが、スポーツ紙に限らず一般紙も、的確な分析や批判的な記事が多く、いつか自分も、と駆け回りました。最近は“不都合な真実”を暴こうとする記者が少なくなり、大相撲、競馬などはユルい報道ばかり。テレビもスポンサーと視聴率を気にして本質に迫ろうとしていません」
――プロ野球は批判記事を書くとすぐに「出禁」(取材禁止)にする球団があって、チームを褒める記事しか認めないと言っているようなものです。
「記者側にも責任があります。選手や球団幹部とメールやLINEなどでつながり、自分は特別と、カン違いしている者がいます。本に書きましたが、取材対象との距離感をどうとるかが重要で、最も難しい。その点について自らに問いかけ、悩んでいる記者がどれくらいいますかね。40年以上記者稼業を続けていますが、いまだに答えを見つけられません」