新大関・貴景勝が参考にすべき栃ノ心の金言と北勝海式稽古
3月場所で大関に昇進した貴景勝(22)。13日から相撲を取り始め、20日の柏巡業では大関高安、元大関栃ノ心の2人と申し合いを行った。
貴景勝が押して勝つ相撲あり、逆に四つで負ける相撲あり。まだ調整中とはいえ、「当たった感覚でパワーは伝わっている」と手ごたえを感じている様子だ。
新大関として期待される貴景勝だが、懸念もある。押し相撲一本で、組まれると弱い。この欠点を克服しないことには、さらに上を目指すことはかなわないだろう。
そんな貴景勝にとって、栃ノ心の言葉が金言になるのではないか。先場所で陥落した元大関は、四つ相撲の力士。高安、貴景勝との稽古に「押し相撲はやりづらい」と言いつつ、「でも、やりづらい相手とやるのが稽古」と話していた。
ある親方は「横綱北勝海、つまり八角理事長の相撲が参考になる」と、こう続ける。
「北勝海が押し相撲でも綱を張れたのは、四つになっても負けなかったからです。もちろん、まわしをとっても強かったこともあるが、何よりも相手のまわしを切る技術にたけていた。これは兄弟子である千代の富士と稽古をしていたからです。千代の富士は握力がケタ外れに強く、四つでは無類の強さを発揮していた。一方、北勝海にすれば、『組まれたら何もできない』では稽古にならない。何とかまわしを切ろうと日々奮闘していたことが、技術の向上につながった。そりゃ、本場所で当たる相手で千代の富士より強い力士はいませんでしたからね」
貴景勝は巡業中は毎日、パワー自慢の栃ノ心と相撲を取ってもいいくらいだ。