大船渡・佐々木 周囲が警戒するのは球速より“判官びいき”
「佐々木? しっかり丸裸にしていますから」
県内のライバル校の監督が口々にこう言う。
6日、大船渡の佐々木朗希(3年)が春季大会県沿岸南地区決勝・高田戦に「4番・右翼」で出場。登板機会はなかったが、野手として4打数4安打2打点の活躍で勝利に貢献した。
そんな“最速163キロ右腕”に対し、ライバル校は17日からの県大会に向けて徹底研究。昨秋より球速が6キロ上がっただけでなく、ここ数試合はあえて球速を落として変化球を多投している佐々木の腕の振りや“クセ”まで分析しているそうだが、県内のさる私立校監督は「そうはいっても、やりづらい相手」と、こう話す。
「投手としてのレベルは高校3年時の大谷翔平(エンゼルス)よりも確実に上。ただ、昨秋の県大会準決勝で盛岡大付が佐々木対策として、172キロの打撃マシンを『ローキ君』と名付けて打ち込み、10安打7得点を挙げて勝利した。速い球への目慣らしは何とかなるかもしれない。厄介なのは大船渡に対する周囲の期待です。大船渡と対戦すれば、球場は『佐々木を甲子園に行かせたい、公立の大船渡に勝たせたい』という雰囲気になる。昨夏は金足農(秋田)がメンバー9人で甲子園準優勝を果たした流れもある。高校野球は雰囲気が勝敗を左右しかねない。春はもちろん、夏も序盤で負けてほしいのが本音です」
大船渡はこの日、控え投手が8回を無安打無得点に抑えた。戦力を底上げし、“佐々木頼み”からの脱却を図ろうとしている。ライバル校にとって、ますますやりづらい相手になりつつある。