U18の“二枚看板” 大船渡・佐々木と星稜・奥川に数々の不安
この2人で本当に世界一を狙えるのか。
20日、計12カ国が参加するU18ワールドカップ(8月30日開幕)の日本代表メンバー20人が発表された。目玉は投手の二枚看板である奥川恭伸(星稜)と佐々木朗希(大船渡)だ。
この日、夏の甲子園準決勝・中京学院大中京(岐阜)戦に先発した奥川は、7回無失点の好投で履正社(大阪)との決勝(22日)進出に貢献。合宿は22日にスタートするが、これにより奥川は2日ほど遅れて代表へ合流する。
■「疲れ方が違う」
高校日本代表は2016年のアジア選手権以降、優勝から遠ざかっている。代表を率いる永田監督(前報徳学園監督)は「今回は勝たないといけない」と並々ならぬ意欲を見せており、悲願の金メダルを獲得するには両右腕の活躍が重要なカギを握りそうだ。
今大会、いまだ自責点ゼロという抜群の安定感を誇る奥川は、1次ラウンド(8月30日~)で重要な試合となる米国戦で先発するプランもあるというのだが、甲子園の決勝まで勝ち進んだことで、その風向きが変わるかもしれない。代表首脳陣の中には早くも、「奥川が決勝まで行けば、心身ともに疲労が蓄積する。甲子園後の状態次第では“使わない”という選択肢も頭に入れておかなければいけない」と、懸念する声が上がっているというのだ。
「奥川抜きで優勝できるほど甘くないことは重々承知ですが、永田監督には昨年、吉田輝星(金足農)や根尾昂(大阪桐蔭)らを擁しながら、3位に終わったアジア大会のトラウマがある」
とは、高野連関係者。
「昨年は金足農旋風を巻き起こした吉田輝星をエース格とし、1次ラウンドの韓国戦、台湾戦という重要な試合に投入したものの、2試合とも打ち込まれて優勝を逃した。吉田は夏の予選から一人で1517球を投げるなど疲労が蓄積。合宿期間中はノースロー調整にせざるを得ず、体重が増えるなど調子を落としていた。奥川は吉田とは違い、甲子園ではここまで計385球。登板間隔も初戦の旭川大高戦から中5日、中3日、中2日ときて、決勝は中1日で臨む。連投がない上に、球数も疲労度も吉田ほどではないにせよ、本人は大会期間中、『大舞台になると疲れ方が違う』と口にしている。春のセンバツ後に右肩に張りが出たため、大事を取って、春の県大会を回避したのも気になるところ。上体主導の投球フォームだけに、疲労が蓄積しやすい面もある。首脳陣は奥川に頼りすぎてチームが回らなくなることを懸念しているのです」
■試合後に号泣
疲労は肉体面のみならず、精神面にも及ぶだろう。奥川は気持ちを前面に出して投げるタイプ。春のセンバツで習志野(千葉)相手に2回戦で敗退し、雪辱を期してこの夏に臨んだ。県大会は苦戦が続き、優勝を決めた瞬間に号泣。智弁和歌山(和歌山)戦では足をつりながら延長14回を一人で投げ抜き、試合後に再び涙を流した。準決勝の先発も監督に直訴。「ここまで来たら、他の投手に譲らず、自分がマウンドに上がりたい」と話している。
母校初の全国制覇に向けた気持ちの入れ方はハンパないだけに、燃え尽き症候群に陥る可能性も否定できない。