U18侍J日下篤団長に聞いた 佐々木の状態と世界一への課題

公開日: 更新日:

夏の甲子園優勝校の履正社から一人も選ばなかった

――また、夏の優勝校である履正社からは一人も選ばれていません。

「履正社の選手も当然、候補に挙がりました。ただ、10日間で9試合を戦う中で、現場のやりやすさを優先しないといけない。投手を多く入れたい、という中で野手より投手をということになった」

――履正社の中堅手・桃谷(3年)が最後まで候補に残っていたというのは本当ですか?

「甲子園ではしっかりきわどい球を見逃すことができていたし、好投手からも打っていたので、どうかという意見は出ていました。ただ、やはり現場の声も尊重しないといけない。20人というごく限られた人数の中、打撃がいい投手や、内野ならどこでも守れたり、内外野どちらも守れるというユーティリティープレーヤーが優先的に入ったという形にはなりました」

――野球の能力を見極める上では、どのような選考基準があるのですか?

「野手なら甲子園の1回戦で本塁打を打った場合でも、国際大会のレベルの高い相手に本当に対応できるのかということは考えます。本塁打を打った後に、外に大きく外れる変化球に手を出すようなら、どうかなと考える。守備の意欲がおろそかなら、一発勝負の国際大会でボロが出かねない。ただ、僕自身はもっと選手を長い目でじっくり見たい気持ちもあります。昨年秋から全国各地区のスタッフから、この選手がいいという推薦をもらい、動ける人に見に行ってもらう作業はしていました。でも、全部を見るには限界があります。たとえば一昨年に清宮幸太郎君(早実―日本ハム)が3年時に代表入りしたときは、同じ学年の村上宗隆君(九州学院―ヤクルト)を推す声もあったんですよ」

――捕手はプロ注目の東妻(智弁和歌山)が外れましたが、U18研修合宿では佐々木の163キロの直球、鋭い変化球を捕球できる捕手がおらず、選考に苦心したそうですね。

「佐々木君のケースは捕手が慣れてなかったですからね。今回はまず、きちんとボールを捕れるか、ということは重視しました。肩が強いに越したことはないですが、打撃よりも守備を重視した部分はある。水上君(明石商)は選考合宿には参加しませんでしたが、きちっとボールを捕れるし、トータル的にまとまっている。でも、誰を選ぶかは本当に難しいですね(苦笑い)」

――30日に開幕。初の世界一に向けての課題は?

「毎年、投手は他国に引けを取らないと思いますが、野手の木製バットへの慣れですね。春のU18合宿に参加した選手には、『木のバットで練習してね』と声をかけたが、芯を外れたときに手が痛いので恐怖心が出たり、詰まるのが怖いのでバットが遠回りをする。木のバットになった途端に全く打てないこともある。一昨年の中村奨成(広陵―広島)もそういう感じでした。選手それぞれ、慣れるまでのスピードに差が出るし、かといって、先々のこともありますから、簡単にこちらが打ち方をいじれません」

――高校野球で一番の目標は甲子園です。

「甲子園がメインにある中で、無理やり打ち方を変えろというわけにはいかない。野球のスタイルを変えてまでW杯に臨むというのはなかなか難しいところです」

【写真特集】佐々木、奥川らU18戦士が決戦の地・韓国へ!

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇