著者のコラム一覧
永田洋光スポーツライター

出版社勤務を経てフリーになり、1988年度からラグビー記事を中心に執筆活動を続けて現在に至る。2007年「勝つことのみが善である 宿澤広朗全戦全勝の哲学」(ぴあ)でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。近著に近著に「明治大学ラグビー部 勇者の100年」(二見書房)などがある。

攻撃回数上回るも大敗…露呈した“ジェイミーHC流”の限界

公開日: 更新日:

 前任者のエディー・ジョーンズは「ジャパンウエー」を掲げ、日本的な細かいパスを重ねて、スペースにボールを運ぶ戦い方を貫いた。しかし、今の“ジェイミー流”は、こうした細かいパスよりも、スーパーラグビーで見られるような、長いパスで一気に外側にボールを運んだり、キックを使って速いランナーを走らせるような、ニュージーランド的なスタイルだ。

 必然的に細かいプレーがうまい選手よりも、大きくて速い選手が、アタックの担い手として優遇される。

 もちろんそれだけでは格上に勝てないから、緻密なパスプレーも織り交ぜボールを運ぶスペースをつくり出そうと試みてはいる。しかし、南ア戦で詰めの甘さを露呈したように、そうしたプレーの担い手を欠くと緻密さが機能しなくなる。

 いくら山なりの長いパスを連ねても南ア防御は動じず、日本の外側の選手は、パスを受けた瞬間に南アの巨漢選手たちに取り囲まれた。

 ジェイミー流で推奨されたキックも、前半22分には、田村優が自陣から蹴ったキックを、相手に捕られてすれ違われ、一気にトライに結びつけられている。

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