オールブラックスの精神的支柱 HAKAとシダとマオリの魂
「いいか、よく聞け!」「戦いに備えろ!」「うーっ!」
隊列を組み、舌を突き出すと、いよいよ本編である。お馴染みになったニュージーランド代表のハカ。先住民マオリ族の言葉で「HA」は息、「KA」は炎を表す。かつては他部族との戦いの前に行われ、結束と集中を共有する儀式だった。
ハカには「カマテ」と大試合で見せる「カパオパンゴ」という舞がある。後者の意味は「黒をまとうチーム」。オールブラックスのことだ。リーダーの鼓舞と勇ましい中腰の群舞は圧巻である。タトゥーをまとったたくましい腕と打ち鳴らされる太ももは、大地をも震わせる。「戦いの時が来た!」「我々の圧倒的な強さを感じろ!」と敵を威圧する。
現在のニュージーランドでは「マオリ族に会いに行く」ツアーがあるらしい。そこでも儀式があるようで、まず、マオリ戦士の雄たけびを全身に浴びる。そして、地面に置かれた「シダの葉」を戦士と目を合わせたまま拾わなければならない。こちらに敵意がないと見なされれば、歓迎の意を示される。
ここで使われるシダは「シルバーファーン」と呼ばれるものだ。高さが10メートルにもなり、英語名が示すように葉の裏側が銀色をしている。