球速がアップする投手の条件 スカウトはココを見ている
ドラフトでヘタうってから、他のスカウトの動きが気になって仕方がない。
オレの担当で7位指名する予定だった選手が、6位で他球団にもっていかれて以降、部長やただでさえ仏頂面のエライさんの視線が冷たいったらありゃしない。本来ならこれまで以上に他球団のスカウトの動きに気を配らなきゃいけないところなのに、気になるのは自分の球団のスカウトの動向。同僚がオレの担当地区に割り込んできていないか、ひょっとしたら担当替えされるんじゃないかって気が気じゃないんだから我ながら情けないよ。
とりあえず15日は部長から「見ておけ」って言われた明治神宮大会をチェックしてきた。場所はネット裏。よりによって部長の隣さ。部長のもとには各地区の担当スカウトから見るべき選手の名前がメールで送られてくる。例えばこの日の高校の部なら健大高崎と星稜のバッテリーといった具合だ。彼らを中心に見たんだけど、健大高崎の左投手は最速138キロ、ストレートの平均は133キロ程度なんで、「(プロとしては)キツイでしょ」って部長に水を向けたら、「そうじゃねーだろ」と、こう続けた。