大リーグ機構の規制緩和で加速する「球団売買」のウラ側
ドジャースのオマリー家、エンゼルスのオートリー家、ロイヤルズのカウフマン家、あるいはチャーリー・O・フィンリーやビル・ベックら、かつて大リーグの球団の多くは資産家の一族や社会的な名声を確立した人物の所有物だった。
そして、21世紀に入り「職業はオーナー」という人々の多くが姿を消し、代わりに投資ファンドが運営会社を組織して大リーグ球団の経営に参画しているのは周知の通りだ。投資ファンドが球団の経営に携わる理由は明快だ。大リーグ球団を所有することが「儲かる投資」と考えられているからである。
現在、大リーグを含む米国のプロスポーツチームの価値は上昇している。米国の経済誌「フォーブス」の分析によると、2019年の大リーグ1球団当たりの資産価値は前年に比べて8%増加し、平均17億8000万ドルとなっている。
■経済成長率を上回る資産価値の上昇
18年の米国の実質国内総生産の成長率が2・9%、19年の予測値が2・6%であることを考えれば、大リーグ球団の資産価値の上昇が米国の経済成長率を上回ることが分かるだろう。