奥川は「高め直球とカット習得」が成功のカギ 専門家解析
7日から新人合同自主トレを行うヤクルト1位の奥川恭伸(星稜)。14日には12分間走で新人6選手中、断トツの3375メートル(時速16・88キロ)を快走した。昨夏の甲子園準優勝投手で、U18ではカナダ相手に7回18奪三振の快投を見せた新世代の怪物候補を、スポーツ科学の専門家である神事努氏(40=国学院大人間開発学部健康体育学科准教授)が徹底解剖する。
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――直球の回転軸角度が81度と非常に大きい。
「縦回転のキレイなバックスピンに近く、回転数もプロ平均に近い。すでにプロの球といえます」
――他に特徴は?
「少しシュート成分が大きく、シュートしながらホップする。かなり良い球質です。MLBのバーランダー(アストロズ=通算225勝)に似た球質といえます。ただ、今以上に球をホップさせるのはなかなか難しいでしょうし、先発の場合は最速よりも平均球速が大事になりますから、平均球速を上げることが今後の課題になるのかなと思います」
――変化球に関しては?
「スライダーは『高校生のスライダー』というのが第一印象です。高速でグッと曲がるというより、プロではカーブの部類に入るのかなと。高校時代はスライダーで多くの三振を奪ったイメージがあるかもしれませんが、プロでは少し厳しいのかなと思います」
――曲がるタイミングが早く、曲がりも大きいということでしょうか?
「高校生の場合は、速い直球とスライダーに対応しきれず空振りが多く取れても、プロでは大きく膨らみすぎると、この球は変化球だなとわかってしまう。打者のスイング速度が速い分、待てる時間も長くなる。大きく曲がりすぎる変化球は、通用しない傾向にあるといえる。ただ、決して使えない球ということではなく、先発を務めるなら、あと1~2球種は必要でしょう」