不透明な陸上界の一新はマラソン選手会の旗揚げしかない
マラソンと駅伝が別物であるとも言えるわけだが、国内の人気は依然として高い。昨年9月に行われたオリンピック代表選考レースMGC、復路が凡庸な展開だった箱根にしても視聴率30%近くを獲得した。この注目度に対し、大迫傑は選手への利益還元を訴え、為末大氏は箱根駅伝の財政の透明化を主張した。その通りなのだが、問題はそこにはない。
■儲けようとしない
駅伝もマラソンもそんなに儲かっていない。あれだけ沿道に人が集まっても観客収入はゼロ。スポンサー料にしろ、サッポロビール一社から驚くほどの金が転がり込むとは思えない。問題は「儲けている」ではなく、「儲けていない」、あるいは「儲けようとしない」ことだ。これだけの人気イベントを市場競争にかける仕組みがない。日本のスポーツを支えたアマチュア時代のなあなあの関係を崩すことは、まさに革命になるからだ。
ある箱根OBは、大迫はなぜ選手組合をつくらないのだろうと首をかしげる。世界陸連も日本陸連も、ロードレースはトラック&フィールドとは別物と考えている。だから札幌移転も周回コースもゴリ押しされた。だったら、マラソン選手会をつくってロードレーサー自身の権利を主張するしかない。