コロナ禍の中断に揺れるJリーグを緊急探訪【甲府】
「2006年度の7億円弱まで売り上げが下がることも視野に入れるべき」
4月下旬に複数のJクラブから2019年度の決算が発表され、昨季ACL準優勝の浦和が、過去最高となる約82億円の売上高を計上。J1残留に成功した大分も、前年比約7億円増の約18億6600万円と業績を大幅に伸ばした。が、新型コロナウイルスの感染拡大で公式戦中止が続く今季は、どこも業績悪化が不可避の状況だ。J2新潟の是永大輔社長が地元メディアに「9、10月にも資金がショートして倒産もあり得る」とショッキングな発言をするほど、全国各地のクラブ経営に暗雲が立ち込めている。長年「プロヴィンチャ(地方クラブ)の模範」と位置付けられてきたJ2甲府も例外ではないという。
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今から20年前、経営破綻寸前の状態に陥った甲府。それを立て直したのが海野一幸前会長だ。
「2000年末の累積債務は4億4780万円。そんなチームが2000年度以降の存続条件として平均観客動員3000人、クラブサポーター数5000人以上、スポンサー収入5000万円という数字を突きつけられました。メインスポンサーの山梨日日新聞・山梨放送グループも『出資したお金を少しでも取り戻してくれればいい』という考えで自分を送り込んだ。みんな戦々恐々としてましたが、足で稼ぐ営業で続々とスポンサーを獲得し、1年間で1億2000万円もの収入増を実現。クラブ解散の危機を乗り越えたんです」と名物経営者は述懐する。