WADAが競技外検査徹底へ 東京五輪候補の敵は市販の風邪薬
世界的なコロナ禍により、機能低下がささやかれていたWADA(世界反ドーピング機関)が6日(日本時間7日)、本格的に活動を再開すると明らかにした。
今後は感染防止のため、これまで控えていた選手の自宅などを訪問する競技外検査を行い、尿検査の他、血液採取も実施する。来年7月に延期された東京五輪に向けて禁止薬物の取り締まりを強化するという。
日本国内でも同様の検査が行われる見込みだが、来年の大会出場を目指すアスリートは注意と自覚が必要だ。現在、JADA(日本反ドーピング機構)やJISS(国立スポーツ科学センター)の薬物に関する相談窓口は閉鎖されており、両団体ともアスリートからの問い合わせにメールなどで対応している。職員は自宅での勤務を強いられ、通常よりも対応に遅れが生じているという。
コロナウイルスへの感染リスクもあって、体調を崩しても病院での診察を控えるアスリートは少なくない。風邪をひいても、医師に処方された薬ではなく、市販薬を服用するしかないのだ。
各国の反ドーピング機関が警告している通り、市販薬には興奮する成分など禁止薬物が含まれているものが少なくない。悪意がなく服用した場合でも検出されれば、アウトだ。実際、日本人選手も過去に市販の薬で引っ掛かり、資格停止処分を科されたケースもある。
東京五輪を目指す選手にとっては、コロナに加えて市販薬のリスクも決して侮れない。