うつ、心臓病リスク増 コロナストレスに蝕まれる選手たち
人間の体は正直だ。
国際プロサッカー選手会は先月20日、新型コロナウイルスの感染拡大により世界中のプロリーグが中断する中、うつ症状を訴える選手が急増しているとの調査結果を発表した。16カ国・地域の1602人(男子1134人、女子468人)のうち、男子の13%、女子の22%が症状を訴えた。
試合がないことや契約問題による将来への不安が原因のようだが、それは日本のプロ野球やJリーグの選手も同じ。インターハイが中止になった高校生や夏の甲子園大会の開催が危ぶまれる高校球児も同等のストレスや精神的なショックを受けているに違いない。来夏に延期された東京五輪の代表候補にしても、コロナ禍でイライラが続く毎日を過ごしているはずだ。
ストレスは自律神経のバランスを崩し、免疫力を低下させる。よって新型コロナウイルスに感染しやすくなるうえ、「ストレスは心臓病の重要な危険因子にもなる」と言うのは、日本循環器病予防学会の元会長で寺田病院(東京)名誉院長の澤井廣量氏だ。
「高血圧、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病などの基礎疾患のある人は特に注意が必要だが、新型コロナウイルスの感染拡大によるスポーツイベントの中止や東京五輪の延期や来年の開催も危ういという状況は、これまで予期せぬ出来事です。心にかかる負荷(ショックやストレス)は相当なものでしょう。来年の五輪が中止になったら、それこそ代表選手にとっての精神的なダメージは計り知れない。日本人は欧米人よりストレスに弱いといわれている。このような過度なストレスが要因となってうつ病になるケースは珍しくありません」