かつてゴジラも苦戦 秋山&筒香が抱える“動く速球”への不安
日本人選手として初のワールドシリーズMVPを獲得した松井秀喜の話だ。
メジャー1年目の2003年。本拠地ヤンキースタジアムのデビュー戦で満塁本塁打を放つ好スタートを切りながら、しかし、その後はメジャー投手の動く速球に苦しんだ。開幕から56試合で打率・254、33打点、3本塁打。左打者の手元で外角に逃げながら沈むツーシームを引っ掛けて内野ゴロを量産。ニューヨークメディアから「ゴロキング」と呼ばれた。
日本のプロ野球にも外国人選手を筆頭にツーシームを投げる投手がいるにはいるが、メジャー公認球はより変化が大きなうえ、球速もケタ違い。松井はその後、成績が上向いたが、渡米してしばらくの間は動く速球に手を焼いた。
さて、松井と同じ左打者で、今年からメジャー挑戦する野手が秋山(32・レッズ)と筒香(28・レイズ)だ。
松井は「自分は不器用だと思う」と言っていたし、対応力や適応力は人によって異なる。イチローのようにメジャー移籍当初から動く速球をまったく苦にしなかった選手も中にはいるが、日本で3割50本打っていたスラッガーですら開幕から56試合はからっきしだったのだ。特に左打者は、外角に逃げながら沈む右腕の動く速球を苦にするという。
今季のメジャーはコロナ禍の影響で60試合。試合数が少ないだけに「4割打者の誕生もある」などと言われるが、逆に試合数減が裏目に出るケースもあり得る。秋山と筒香が動く速球に慣れてきたと思ったらシーズンが終わった、なんてことにならなければいいのだが。