阪神ジ・エンド…矢野監督の“甘さ”が招いた巨人との決定差
阪神・藤浪晋太郎(26)は一軍に残った。5日の巨人戦で4回3分の2を投げ、球団ワーストを更新する11失点。矢野燿大監督(51)は6日、「もう1回はと思っている」と明言した。13連戦中ということもあり、二軍には落とさず、再度チャンスを与えるようだ。
前夜は歴史的な大惨敗だった。カットボールなどの変化球はストライクが入らず、苦し紛れに置きにいった直球をことごとく狙われ、集中砲火を食らった。三回を終えて7安打7失点。それでも三回裏に回ってきた打席にも入り続投。矢野監督は「この展開、中継ぎの登板も多くなってる中で、苦渋の決断をしているだけ」と意図を説明。「もちろん晋太郎に頑張れという思いはいつも持っている」とも付け加えた。
つまり、リリーフ陣を温存するのもさることながら、元ドラフト1位投手の奮起を促すため、11失点するまで放置したことになる。
「問題ですね。1敗でもすれば、セ・リーグの明かりを消すことになる大事な巨人戦でやることではありません。さらし者にしてしまい、完全に逆効果です」と巨人OBで元投手コーチの高橋善正氏(評論家)がこう言った。
「最初の間違いは、ストライクを取ることがままならない(5回途中6四球)投手を大事な一戦に先発させたこと。2番目は交代のタイミングです。三回で7失点してからでも遅い。見切りの早い原監督なら、二回に2失点したところで降板させていたのではないか。矢野監督は巨人に4連勝して食い下がると意気込んでいた。それなら、13連戦の中継ぎの負担を考えるのは4連勝してからでいい。なにがなんでも勝つための手を打たないと。原監督は勝負どころでそういった温情は一切かけません。選手層の違いはもちろんあるでしょうが、矢野監督には厳しさが足りないように見えます」
■勝負どころで「温情一切なし」の原監督
高橋氏が言うように、対照的なのは巨人の原辰徳監督(62)だ。
藤浪同様、ドラフト1位入団で実績があり、制球難に苦しんでいる沢村を、一時は三軍まで降格させた。実績や名前があっても「ストライクを取るのに汲々としている投手はプロとして失格」と断じ、良くも悪くもシビアに切り捨てる。坂本や丸クラスの選手でも問答無用。調子が悪ければ平気で送りバントだってさせる。全権監督の恐怖政治みたいなところはあるが、そうやってチーム内の緊張感を保っているのだ。