朝乃山に初日 混沌9月場所制すは押しより“四つ相撲”の根拠
誰が優勝するか、いよいよわからなくなってきた。
16日の4日目、大関朝乃山(26)にようやく初日が出た。対戦相手の北勝富士を一方的に攻め、土俵際では力強く寄り倒し。その一方、三役以上で唯一全勝だった正代(28)に土がついた。前へ前へと出る照ノ富士の圧力に屈し、最後は土俵下まで吹っ飛ばされた。
これで全勝は平幕の阿武咲と翔猿のみ。大関貴景勝も前日の負けから一転、盤石の押し相撲で1敗をキープしている。2敗力士はもちろん、今場所初白星の朝乃山にも優勝の目がある。
果たして誰が賜杯を掴むのか。角界には「今場所は押し相撲より四つ相撲の力士が有利」という声がある。朝乃山や正代、照ノ富士は四つ相撲が本分。一方、貴景勝、阿武咲、翔猿らは押し相撲で鳴らす力士だ。
ある親方は「あくまで一般的な話だが」と、前置きしてこう続ける。
「四つ相撲は『この体勢になったら負けない』という自分の型がある。朝乃山なら右四つです。その型に持ち込んでしまえば、じっくり相手を料理できる。大番狂わせはなくとも、安定した相撲が取れる。一方、押し相撲は常に相手の動き次第。四つ相撲以上に実戦感覚を研ぎ澄ませていなければいけない。こちらは安定感はないが、大物食いやまさかの逆転がある。今場所は先場所に続いて、出稽古禁止で臨んでいる。実戦稽古が減ったことは押し相撲の力士にとっては痛手でしょう」