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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

大リーグ選手会が「世界最強の労働組合」である3つの理由

公開日: 更新日:

 大リーグ選手会(MLBPA)は、日本ではしばしば「全米最強の労組」あるいは「世界最強の労組」と呼ばれる。

 米国には全米自動車労働組合(UAW)や全米鉄鋼労働組合(USW)など、資本側と激しく対立する強力な労働組合があるし、フランスには戦闘的な組合も少なくない。そのため、選手会に与えられた呼び名はやや過大な評価であると言えるだろう。

 しかし、1994年から95年にかけて世界のプロスポーツ史上最長の232日に及ぶストライキを行ったことを振り返るだけでも、確かにMLBPAが全米あるいは世界でも指折りの、強力な労働組合であることが分かる。

 選手会の実力と存在感は、主として「実行力」「団結力」「資金力」の3点によって高められてきた。

「実行力」に関して、1965年の発足当初、親睦団体であった選手会を労働組合に変貌させたのは、66年から83年まで第3代専務理事を務めたマービン・ミラーだ。

 ミラーは経営者や機構との交渉で選手の権利の擁護を強硬に主張し、68年の選手年金基金制度の確立や76年のフリーエージェント制度の導入などを実現する。

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