プロ野球キャンプ「緊急事態宣言」でも南国で開催のナゼ
「それでも従来通りのキャンプを行う理由は主に2つ。まず、『これは長年の慣習だから』と、プロ野球サークルのほとんどの人たちが変えたがらない。特に昔は親会社から出向のフロントが多かった。彼らにしてみれば、何か新しいことをして、それが失敗したときの責任を取りたくないのです。もうひとつは監督、コーチが新人とベテランを手元でチェックしたいからです。新人は何かあったら困るし、ベテランは手を抜いてないか監視するためです」
しかし、それならば本拠地でキャンプをやっても同じだろう。自宅通勤にすれば、集団感染のリスクは減る。設備にしても本拠地球場ならば何の問題もない。
「少なくともプロ1年目のルーキーと、ベテランを同じ日程でやらせる必要はありません。私がオリックスにいた頃、『ベテランは4クール目くらいから合流でいいのでは』と提案した。最初はベテラン選手も『それはいいですね』と賛成してくれたが、やっぱり初日から参加したいと。『家にいると子守りをさせられて大変』というのが、その理由でしたけどね(苦笑い)」(前出の井箟氏)
暖かい南国でやった方が動きやすいという選手もいるだろうが、現在はオフの自主トレが重視されている。なまった体でキャンプインする選手は皆無に近い。温暖な気候だと体がよく動くと勘違いし、逆にケガにつながるケースもある。
井箟氏は「数十年前から変わらない、日本式のキャンプを見直す必要がある」と語る。コロナ禍でも慣習にとらわれている12球団は耳を傾けるべきだ。