2021年春のセンバツ甲子園 スター&ドラフト候補はこの4人
小園健太(市和歌山・和歌山/投手・右投げ右打ち)
3月19日に開幕予定のセンバツ甲子園。現段階では甲子園球場の観客動員数の約半分となる2万人程度の有観客での開催を想定している。出場当確の学校から、今大会のヒーロー候補で、今秋のドラフト候補でもある4人をピックアップした。
貝塚ヤングに所属していた中学3年夏に全国優勝。「本格派中学生」として知られた投手だった。
関西圏の多くの強豪校から声がかかる中、公立の市和歌山への進学を決めた。貝塚ヤングの川端末吉監督は同校OBで現ヤクルト・川端慎吾の父。中学Vの貝塚ヤングでバッテリーを組んだ強打の捕手・松川が先に同校への進学を決めており相棒から熱心に誘われたのも決め手となった。
185センチ、85キロから最速152キロを投げ込む。関西地区を担当する某スカウトがこう明かす。
「変化球の精度が高い。特にツーシームとチェンジアップが良くて、内野ゴロの山を築かせる。テンポが速く、打たせて取るので、完投しても登板時の球数は100球そこそこで、試合時間も短い。普通、高校生はあそこまで自在に変化球を操れないし、球数も少なく終われません」
課題はあるか。
「直球のMAXは152キロでも、平均は140キロちょっと。プロ入りを視野に入れた時、もう少し上積みが欲しい。スライダーが少し膨らむので、直球の軌道からキュッと曲がれば、さらに良くなる。最近では星稜(石川)の奥川(現ヤクルト)、プロでは上原(元巨人など)タイプ。ドラフト1位候補でしょう」(前出のスカウト)
その奥川は高校3年春、優勝候補の履正社(大阪)相手に、毎回の17三振を奪う3安打完封勝利でドラフト1位の評価を不動のものにしている。
前川右京(智弁学園・奈良/外野手・左投げ左打ち)
「柔らかさ、勝負強さ、そして飛距離が魅力」
あるスカウトがこう言った。
1年夏から主砲を任される左の長距離砲。小坂監督は同校出身で現巨人の4番・岡本と「飛距離はいい勝負」と太鼓判を押す。その先輩は昨年、セ・リーグの本塁打、打点の2冠に輝いた。
秋の近畿大会では決勝の大阪桐蔭戦で154キロ右腕・関戸から右翼へ場外弾。高校通算を29本塁打とした。
身長は177センチ。1日7食で体重を10キロ増量し、88キロにしたことで、さらにパワーアップ。金属バットにヒビを入れてしまうほど、岡本先輩も顔負けの爆発的なスイングで、聖地を沸かせる。
代木大和(明徳義塾・高知/投手・左投げ左打ち)
183センチ、75キロの大型左腕だ。広島OBで投手コーチ、編成部長などを歴任し、現在は徳島県の中学、高校野球の技術指導員を務める川端順氏がこう解説する。
「1年生の時に初めて見た試合の印象は、上背はあっても、ポッチャリしていてキレがないなと。投球時に左腕が背中の方に入ってしまい、上半身と下半身のバランスが悪く、抜けたボールが多かった」
それから1年が経過。2年生になって大きな変化があったという。川端氏が続ける。
「昨秋の四国大会準決勝で、私の母校でもある鳴門(徳島)と対戦した試合を見たら、体が10キロほど絞れていて、まるで別人。投手らしい体形になっていて驚きました。コロナ禍でしっかり体幹トレーニングを積んできたのでしょう。下半身が安定し、体の上下のバランスが良くなったことで、腕が背中側に入る悪癖が改善された。『間』ができるようになり、打者がタイミングを取りにくくなった。佐野日大(栃木)時代の田嶋(現オリックス)タイプ。最大の武器は落差の大きい縦のスライダー。『消える』と表現してもいいほどで、同じ左腕なら桐光学園(神奈川)の松井(現楽天)、右腕なら瀬戸内(広島)の山岡(現オリックス)クラスの落差。直球と同じ軌道から落ちるのがミソで、これはなかなか難しいんです」
これからの伸びしろが大きい投手だという。
「現段階で直球は130キロそこそこ。ただ太るのではなく、絞った体をもう一度トレーニングなどで大きくして、球威を常時140キロ台にできれば、縦のスライダーも生きてくる。さらに変化球をもう1種類は覚えたい。右打者の外角へ逃げるチェンジアップ系の球があれば、ドラフト上位候補になり得るポテンシャルを秘めています」(川端氏)
畔柳亨丞(中京大中京・愛知/投手・右投げ右打ち)
昨年のドラフト会議で高校生ナンバーワン投手の呼び声が高かった中日1位指名の高橋(中京大中京)。入札抽選となる「1巡目」で高校生としてただ一人名前を呼ばれた。そんな先輩の背中を追う逸材だ。
177センチ、80キロ。こちらもドラフト候補に挙がる最速151キロ右腕だ。中学時代はヤングリーグのSASUKE名古屋でプレーし、U15日本代表にも選ばれた。
昨秋の東海大会では制球力を重視するため、走者がいなくてもセットポジションから投球。脱力投法にモデルチェンジし、勝てる投手に変貌した。好きな投手は楽天・則本。目標は高橋先輩を超えることだという。センバツはそのための舞台になる。